空き家が増加する要因の一つとして近年では核家族化が進んでいることが挙げられており、親の死後、実家を相続することになったとき、すでに自分の家を持っている方や、仕事の都合で相続した家に住むことができない方もいるのではないでしょうか。
その時、相続した家はどうすればいいのか…。
今回は、実家が空き家になったとき相続した空き家にかかる税金についてお伝えしていきたいと思います。
1:空き家でも税金はかかる!?
空き家の取得原因は相続が半数以上を占めており、相続のタイミングで被相続人の居住建物が空き家となるケースが多いです。
空き家を相続した場合、相続税以外にも税金がかかることはご存じでしょうか?
ここでは相続した空き家にかかる税金についてお伝えしていきます。
1.1:相続税
まず、空き家の相続税についてみていきたいと思います。
空き家の相続税は、家屋部分と土地部分とで計算方法が異なります。
【建物部分の相続税の計算方法】
建物部分の相続税評価額(※)は「固定資産税×1.0」なので固定資産税評価額をそのまま使用します。
※相続税評価額とは、相続税や贈与税を申告するときの基準となる評価額です。
【土地部分の相続税の計算方法】
土地部分の相続税評価額には2つの算出方法があります。
①路線価方式
道路に面した土地には路線価(※1)が設定されており、相続税評価額の計算時に使用できます。路線価方式による相続税評価額の算出方法を式で示すと、下記のとおりです。
土地の相続税評価額(路線価方式)=路線価×各種補正率(※2)×土地面積
※1:路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額(千円単位で表示しています。)のことであり、路線価が定められている地域の土地等を評価する場合に用います。国税庁のホームページ「路線評価図・評価倍表」にて確認できます。
※2:各種補正率は土地の形状による価値の低下を調整するための割合です。
②倍率方式
倍率方式は路線価が定められていない地域の土地の相続税評価方法です。
倍率方式による相続税評価額の算出方法を式で示すと、下記のとおりです。
土地の相続税評価額(倍率方式)=固定資産税評価額×倍率(※)
※倍率は路線価と同様に国税庁のホームページにて確認できます。
1.2:固定資産税・都市計画税
空き家であっても固定資産税はかかります。エリアによっては都市計画税も課税の対象です。計算方法は下記のとおりです。
【固定資産税の計算方法】
固定資産税=固定資産評価額 (課税標準額)× 標準税率(1.4%)
【都市計画税の計算方法】
都市計画税=固定資産税評価額(課税標準額) ×制限税率(最高0.3% ※)
※都市計画税の税率は各市町村によって異なります。おおむね0.2~0.3%が標準です。
幸手市の都市計画税は0.27%となっています。
1.3:固定資産税の軽減措置
不動産を相続すると固定資産税・都市計画税を納めることになりますが、「固定資産税等の住宅用地特例」という軽減措置があります。
適用される土地には、住宅の規模に応じて下記のとおりに税額が軽減されます。
【住宅用地の特例措置】
たとえば、300㎡の住宅用地の場合、200㎡までが小規模住宅用地となり、課税標準は固定資産税評価額の6分の1、残り100㎡は3分の1に軽減されます。
ただし、建物を解体すると特例措置は適用外となってしまいます。
建物を解体し、更地にすることで建物の固定資産税はなくなりますが、特例措置の適用もなくなります。
1.4:「特定空き家」に認定されると固定資産税が6倍に!?
税制的には空き家を解体しないほうがお得に感じます。しかし、上記でお伝えした通り「特定空き家」または「管理不全空き家」に認定され、状況が改善されない場合には、固定資産税等の住宅用地特例の適用を解除されます。
その場合、特例措置の適用がなくなることで土地部分の固定資産税は最大6倍、都市計画税は最大3倍になります。
2:空き家を相続するときの注意点
空き家を相続した際、ご自身で住む予定がない場合には「売却」「賃貸」「相続放棄」というような選択肢が出てくると思います。
もし売却したとき、空き家を含めた相続財産が一定額を超えた場合、または売却によって利益が発生したときは、相続税や譲渡所得税(※)がかかります。
ただし、一定要件を満たすと空き家の相続税評価額が下がり、売却時の譲渡所得税も軽減されるので、以下の注意点を参考にしてください。
※土地や建物を売って得た利益のことを「譲渡所得」といいます。譲渡所得には所得税や住民税がかかり、それらを総称して「譲渡所得税」といいます。実際には「所得税」と「住民税」です。
2.1:小規模宅地等の特例を利用する
小規模宅地等の特例とは、一定要件を満たせば、相続した宅地(建物を建てる用の土地)の財産評価額を最大80%減額できる制度です。
この特例は、基本的には同居する親族の相続税の負担を減らすための特例です。
しかし、被相続人に同居親族がおらず、同居していなかった親族が宅地を相続する場合にも適用されるケースがあります。
条件として、3年以上自分の持ち家に住んでいない親族が該当します。自分のマイホームを持っていない人に適用される特例という意味で、「家なき子特例」と呼ばれています。
下記、家なき子特例の適用要件です。
・被相続人に配偶者がいないこと
・被相続人に同居していた親族がいないこと
・相続開始3年前までに相続人が持ち家に住んでいないこと
・相続した宅地を相続税の申告期限まで所有していること
2.2:空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例を利用する
空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例は、空き家を相続して売却した際に、譲渡所得を控除できる制度です。
適用要件は厳しいですが、この特例の適用を受けられれば、売却して得たお金から最大3000万円まで控除可能です。
この特例については、後日別のコラムで詳しく解説していきたいと思います。
3:まとめ
いかがだったでしょうか?
空き家の相続は、できれば相続開始前から、相続をした際に空き家をどのような取り扱いにするのかご家族でよく検討しておくことが大切です。
様々な選択肢がありますが、どのような選択肢がベストなのか、ご自身で判断するのが難しい場合も多いため、まずは一度、相続の専門家に相談されることをおすすめします。
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